参考書は何冊やるべきか — 買いすぎを防ぐ考え方
参考書のルートを見ると 8 冊、10 冊と並んでいて、「こんなに買うのか」と不安になります。結論から言うと、同時に進めるのは 1 科目 2〜3 冊までです。ルートに並んでいるのは 1 年以上かけて順に通る本のリストであって、いま買う本のリストではありません。
なぜ買いすぎると成績が伸びないのか
理由は単純で、1 冊あたりに割ける時間が減るからです。
参考書には想定学習時間があります。網羅系なら 1 巻 70〜110 時間、薄めの問題集でも 40 時間前後です。1 日 3 時間を数学に使えるとして、90 時間の本は 1 か月かかります。同時に 4 冊を進めれば、1 冊あたり週に数時間しか触れないことになり、前回やった内容を忘れた状態で再開することになります。
さらに、参考書は 1 周では定着しません。2 周目・3 周目で「解けなかった問題だけを回す」ことで初めて手が動くようになります。同時に多くの本を抱えると、この周回に入る前に次の本へ移ってしまいます。
もったいないの罠
「買った本を全部やらないともったいない」という感覚が、さらに冊数を増やします。しかし本の値段より、消えた時間のほうがはるかに高いコストです。使わないと決めた本は、机の上から片づけてください。
同時に進めていい冊数
1 科目あたり、次の 3 つの枠で考えると整理できます。
- メインの 1 冊。 いま集中して進める問題集・網羅系。学習時間の大半をここに使います。
- 並行する暗記もの 1 冊。 英単語帳、古文単語、社会の用語集など。毎日少しずつ触れる本です。メインとは性質が違うので、同時に進めても干渉しません。
- 参照用の 1 冊。 辞書的に引く本(文法書、資料集、網羅系の 2 周目以降)。通しでは読みません。
この 3 枠に収まっていれば、同時進行は破綻しません。逆に「メインの問題集が 2 冊ある」状態は危険信号です。どちらかが確実に止まります。
全科目で見ると、5 科目 × 3 枠で最大 15 冊が机の上にあることになりますが、実際に毎日触れるのはメイン科目 2〜3 つ分です。全科目を毎日均等に進めることはできません。
1冊を終えたと判断する基準
「1 周した」は終わった基準になりません。次のどちらかを満たしたときが、次の本に移るタイミングです。
- 掲載されている問題の 8 割以上を、解答を見ずに手が動く状態で解ける。 答えを覚えているのではなく、方針が立つかどうかで判断します。
- その本のレベルでは、もう間違えるところがない。 この場合は残りをやり込むより、上のレベルに移ったほうが伸びます。
逆に、1 周して 4 割しか解けない状態で次の本に進むと、次の本でも同じところでつまずきます。難しい本に進むことと、力がつくことは別です。
買い足していいとき・いけないとき
買っていいとき
- いま使っている本が上の基準で終わったとき。
- 模試や過去問で、明確に足りない領域が見つかったとき(例:長文は読めるが英作文の型を知らない)。
- 志望校が決まって、必要な到達点が今の本の射程を超えたとき。
買ってはいけないとき
- いまの本が進んでいないとき。 進まない原因は本ではなく、難易度が合っていないか、時間が確保できていないかです。新しい本を買っても同じことが起きます。
- 成績が伸びず不安なとき。 参考書を買うと勉強した気分になりますが、実際に増えたのは選択肢だけです。
- 周りが使っているのを見たとき。 その人の現在地と志望校はあなたとは違います。
買う前に確認する
ルート大全では、各参考書のページに「向いている人」と「注意点」を載せています。買う前に、その本が想定している現在地と自分が合っているかを確認してください。合わない本を買うのは、時間を前借りして捨てるのと同じです。
結局、1科目に何冊必要か
志望校のレベルによりますが、目安は次のとおりです。共通テストのみで使う科目なら 2〜4 冊、難関大の二次試験で使う科目なら 5〜8 冊が、1 年かけて通る本の数になります。
これは「同時に買う数」ではなく「順に通る数」です。8 冊のルートなら、1 冊あたり平均 1〜2 か月。実際には最初の網羅系に 3 か月、最後の過去問に 2 か月といった配分になります。
ルート大全の各科目ページでは、志望校を選ぶと、その並びが何冊になるかまで表示されます。数を見て多いと感じたら、時短型のルートに切り替えてください。冊数を削ったルートも併記しています。