古文はどこから手をつけるか — 単語・文法・読解の順序
古文はやることが決まっている科目です。単語・文法・読解の 3 つを順に積めば、現代文より短期間で得点が安定します。逆に、いきなり読解演習から入ると何も残りません。この記事では順序と、それぞれで使う本を整理します。
古文が読めない理由は3つに分かれる
古文の文章が読めないとき、原因は次のどれかです。原因によって手を打つ場所が変わります。
- 単語の意味が分からない。 古文単語は現代語と形が同じで意味が違うものが多く、知らないと誤読します。
- 助動詞・助詞が処理できない。 「ぬ」が打消なのか完了なのか、「なむ」が何なのかを判別できないと、文の意味が逆になります。
- 主語が追えない。 古文は主語が省略されます。敬語と文脈から誰の動作かを判断する必要があります。
1 と 2 は暗記で解決します。3 は読解の訓練が必要です。多くの受験生は 3 でつまずきますが、1 と 2 が不十分なまま 3 に取り組んでも進みません。順序が重要な理由がここにあります。
第1層:古典文法 — 最初にやる
古文で最初に手をつけるのは文法です。単語より先で構いません。文法は量が限られていて、短期間で終わります。
| 参考書 | 難易度 | 到達目安 | 問題数 | 想定時間 | 向いている人 |
|---|---|---|---|---|---|
| 富井の古典文法をはじめからていねいに | 2 / 10 | 〜55(導入) | 講義+別冊 | 15〜22h | 古典文法をゼロから始める人 |
| 望月光 古典文法講義の実況中継 | 2 / 10 | 〜58(導入) | 272頁/巻 | 各巻12〜18h | 文法を理屈から深く理解したい人 |
| 岡本梨奈の古典文法 | 2 / 10 | 〜55(導入) | 講義形式 | 12〜18h | 岡本シリーズで古文を組み立てたい人 |
| 八澤のたった6時間で古典文法 | 1 / 10 | 〜52(超入門) | 動画講義付 | 6〜10h | 最速で文法の全体像を掴みたい人 |
富井の古典文法をはじめからていねいにと望月光 古典文法講義の実況中継は、講義形式で文法を一通り説明する定番です。八澤のたった6時間で古典文法は、必要最小限に絞って短時間で通す本です。
講義系を読んだだけでは定着しないので、ドリルで手を動かします。
古典文法の演習ドリルとして最も使われる河合出版の定番の2024年四訂版。30項目を見開きの要点整理+ドリルで進め、講義系で理解した文法を手…
駿台の文法ドリル。1項目10題ずつの小刻みな構成で、毎日少しずつ文法を定着させる。ステップアップノートの代替として使え、実戦編・漢文編とシ…
ステップアップノート30 古典文法基礎ドリルは、講義系と並行して使う定番の演習書です。用言の活用と助動詞の識別を、書いて覚える形で固めます。
文法の範囲は限られている
文法で覚えるべきものは、動詞・形容詞・形容動詞の活用、助動詞の意味と接続と活用、重要な助詞、敬語の3種類です。この範囲は 1〜2 か月で終わります。ここを曖昧にしたまま読解に進むと、あとで必ず戻ることになります。
第2層:古文単語 — 文法と並行する
| 参考書 | 難易度 | 到達目安 | 問題数 | 想定時間 | 向いている人 |
|---|---|---|---|---|---|
| マドンナ古文単語230 | 2 / 10 | 40〜60 | 230項目(全400語)/308頁 | 15〜22h | 古文単語の最初の一冊を最短で終えたい人 |
| 重要古文単語315 | 3 / 10 | 45〜68(全レベル) | 315語/321頁 | 20〜30h | 学校で配られた人・理解型で覚えたい人 |
| Key&Point 古文単語330 | 3 / 10 | 45〜68(全レベル) | 330語/352頁 | 20〜30h | 学校で配られた人・例文重視で覚えたい人 |
| 古文単語ゴロゴ プレミアム+ | 2 / 10 | 40〜65(全レベル) | 565語/360頁 | 20〜30h | 古文単語がとにかく覚えられない人 |
古文単語は 300 語前後で足ります。英単語の 1,900 語に比べれば圧倒的に少ないので、負担は大きくありません。
マドンナ古文単語230は語数を絞り、語源やイメージから覚えさせる構成です。重要古文単語315は語数が多く、識別問題や古典常識の情報も載っています。古文単語ゴロゴは語呂合わせで機械的に覚える本で、暗記が苦手な場合の選択肢になります。
どれを選んでも到達点は変わりません。1 冊を繰り返すことのほうが重要です。
古典常識も並行する
古文は当時の生活・貴族社会の仕組みを前提に書かれています。源氏でわかる古典常識のような本で、月の異名・時刻・官職・結婚の習慣などを知っておくと、文脈の推測が効くようになります。優先度は単語・文法より下ですが、余裕があれば早めに触れておくと読解が楽になります。
第3層:読解演習 — 主語を追う訓練
| 参考書 | 難易度 | 到達目安 | 問題数 | 想定時間 | 向いている人 |
|---|---|---|---|---|---|
| 富井の古文読解をはじめからていねいに | 3 / 10 | 45〜58 | 講義形式 | 12〜18h | 文法は分かるのに古文が読めない人 |
| 岡本梨奈の古文読解 | 3 / 10 | 45〜58 | 336頁 | 15〜20h | 岡本の文法本を終えて読解へ進む人 |
| 古文上達 基礎編 読解と演習45 | 3 / 10 | 45〜58 | 45題/288頁 | 25〜35h | 文法講義を終えて最初に解く演習書を探す人 |
| 古文ポラリス 1 基礎レベル | 3 / 10 | 45〜55 | 基礎演習 | 18〜25h | 岡本メソッドで演習を始める人 |
文法と単語がある程度入ったら、読解に進みます。ここで訓練するのは主に主語の判別です。
富井の古文読解をはじめからていねいにと岡本梨奈の古文読解は、読解の手順を説明する講義系です。古文上達 基礎編 読解と演習45は、文法事項の確認と読解演習を組み合わせた構成で、文法の総復習を兼ねられます。
読解演習の復習では、次を確認してください。
- 各文の主語が誰か(本文に書き込む)
- 敬語の使われ方から誰から誰への動作かが分かるか
- 助動詞の識別が正しくできていたか
- 知らなかった単語を単語帳で確認する
現代語訳を丸暗記しても意味がありません。訳を見る前に自分で訳を作り、どこがずれていたかを確認する形で進めてください。
時間配分の目安
古文は 3 か月あれば一通り仕上がります。
- 文法(1〜2 か月) — 講義系 1 冊とドリル 1 冊を並行。
- 単語(文法と並行、通年) — 毎日 15 分程度。1 冊を繰り返します。
- 読解(1〜2 か月) — 講義系 1 冊のあと、レベル別演習へ。
- 過去問 — 志望校の形式に合わせて。国公立の記述なら記述対策を追加します。
英語や数学に比べて必要な総時間が少ないのが古文の特徴です。「時間がないから古文は捨てる」という判断は、多くの場合もったいない選択になります。配点を確認してから決めてください。