網羅系の次は何か — 1対1対応・標準問題精講・プラチカの違い
網羅系を終えたあと、何に進むかで迷います。1対1対応の演習・標準問題精講・プラチカ……名前は聞くものの、レベルの違いが分かりません。この記事では、収録データの難易度と到達目安をもとに整理します。
演習書は何をする本か
網羅系が「解法の在庫を作る本」だとすれば、演習書は在庫から適切なものを引き出す訓練をする本です。
網羅系の問題は、単元ごとに並んでいます。「三角関数の章にある問題だから三角関数の解法を使う」と分かった状態で解いています。しかし入試では単元名が書かれていません。初見の問題を見て、どの分野の、どの解法を使うかを自分で判断する必要があります。
この判断力は網羅系だけでは身につきません。だから網羅系のあとに演習書が要ります。逆に、網羅系が仕上がっていない状態で演習書に進むと、引き出す在庫がないので手が止まります。
標準レベルの演習書を比べる
網羅系の直後に入る帯です。
| 参考書 | 難易度 | 到達目安 | 問題数 | 想定時間 | 向いている人 |
|---|---|---|---|---|---|
| 文系の数学 重要事項完全習得編 | 5 / 10 | 50〜60 | 例題152+演習120 | 60〜80h | 文系で入試標準を効率よく固めたい人 |
| 国公立標準問題集 CanPass | 6 / 10 | 50〜60 | 約124題+IIIC | 70〜100h | 国公立二次の記述に慣れたい人 |
| 数学の良問問題集[300] | 6 / 10 | 50〜62 | 307題(3段階) | 90〜120h | 基礎問修了後の理系(MARCH・地方国公立) |
| 標準問題精講 | 7 / 10 | 55〜65 | 標問124題+演習/巻 | 各巻50〜70h | 網羅系や基礎問を終えて入試標準を固めたい人 |
| 1対1対応の演習 | 7 / 10 | 55〜67 | 例題+演習 約110題/巻 | 各巻40〜55h | 網羅系修了後、解法の質を高めたい難関大志望者 |
文系の数学 重要事項完全習得編と国公立標準問題集 CanPassは、網羅系の直後でも手が出やすい難度です。1対1対応の演習と標準問題精講は一段上で、網羅系の例題が仕上がっていることが前提になります。
1対1対応の演習と標準問題精講
この 2 冊は難易度・到達目安がほぼ同じで、どちらを選んでも到達点は変わりません。違いは構成です。
難関レベル:プラチカとやさしい理系数学
| 参考書 | 難易度 | 到達目安 | 問題数 | 想定時間 | 向いている人 |
|---|---|---|---|---|---|
| 理系数学の良問プラチカ IAIIBC | 7 / 10 | 57〜67 | 約160題 | 70〜90h | 網羅系修了後の難関理系志望者 |
| 文系数学の良問プラチカ | 8 / 10 | 60〜70 | 159題 | 70〜90h | 東大・一橋・旧帝・早慶の文系志望者 |
| やさしい理系数学 | 8 / 10 | 60〜68 | 例題50+演習 約190題 | 80〜100h | 複数解法を吸収して発想力を磨きたい人 |
| 新数学スタンダード演習 | 7 / 10 | 58〜68 | 約300題 | 100〜130h | 1対1を終えて演習量を積みたい難関大志望者 |
注意が必要なのはプラチカの文系版と理系版の難易度が逆転している点です。
文系数学の良問プラチカのほうが、理系数学の良問プラチカ IAIIBCより難度が高く設定されています。文系版は文系最難関を想定しているのに対し、理系版は数 III を別冊にしたうえで I・A・II・B・C を扱うため、1 問あたりの重さが違うためです。理系志望者が「文系版のほうが簡単そうだから」と選ぶと逆効果になります。
やさしい理系数学も名前に注意が必要な一冊です。「やさしい」とありますが、到達目安を見れば分かるとおり難関レベルの本です。
タイトルは難易度を表さない
タイトルの印象で難易度を判断しないでください。「入門」「やさしい」「標準」といった語は出版社ごとに基準が違います。当サイトでは全科目共通の 10 段階で難易度を表示しているので、そちらで比較してください。
何冊やるか、どこで止めるか
演習書は 1 冊で足りることも、2 冊必要なこともあります。判断は志望校のレベルです。
- 共通テスト中心 → 演習書は不要な場合もあります。網羅系の例題+共通テスト形式の演習で足ります。
- MARCH・地方国公立 → 標準レベルの演習書 1 冊。そのあと過去問へ。
- 旧帝大・早慶 → 標準レベル 1 冊 → 難関レベル 1 冊。ここで 2 冊必要になります。
- 最難関(東大・京大・医学部) → 難関レベルのあと、さらに上級問題精講や新数学演習などに進む場合があります。ただし過去問演習の時間を削ってまでやる価値があるかは、残り時間との相談です。
共通するのは、最後は過去問に十分な時間を残すということです。演習書を積み増すより、志望校の過去問を複数年分、時間を計って解くほうが得点に直結する段階があります。目安として、直前期の 2 か月は過去問に充てられるよう逆算してください。