英文法はどれをやるか — Next Stage・Vintage・スクランブルと、その前にやる本
英文法の本は「理解するための本」と「問題を解く本」の 2 種類があり、この区別を知らずに買うと順番を間違えます。さらに問題集のほうは、Next Stage・Vintage・スクランブル・UPGRADEと似た本が並んでいて、違いが分かりません。この記事で整理します。
まず、2種類あることを知る
英文法の教材は、役割で 2 つに分かれます。
- 理解型:文法のルールを説明する本。読んで納得するための本です。大岩のいちばんはじめの英文法や総合英語Evergreenがこれにあたります。
- 演習型:4 択などの問題を大量に解く本。覚えたルールを引き出せるようにする本です。Next StageやVintageがこれにあたります。
順序は理解型 → 演習型です。これを逆にすると、解説を読んでも何を言っているか分からず、答えを丸暗記することになります。文法問題集を開いて「解説が理解できない」と感じたら、それは問題集が悪いのではなく、理解型を飛ばしているサインです。
配られた本から始める場合
「学校で Next Stage が配られたから、それをやればいい」という状況はよくあります。その場合も、解説を読んで分からない単元があれば、理解型の本か学校の総合英語で先に補ってください。演習型は、理解済みの内容を引き出す訓練のための本です。
理解型:どこから読むか
| 参考書 | 難易度 | 到達目安 | 問題数 | 想定時間 | 向いている人 |
|---|---|---|---|---|---|
| 大岩のいちばんはじめの英文法 | 1 / 10 | 〜50(導入) | 全23講義・230頁 | 20〜30h | 英語をゼロからやり直す全ての人 |
| 肘井学のゼロから英文法 | 2 / 10 | 40〜55 | 講義+確認問題・328頁 | 30〜40h | 文法を理解型でゼロから始めたい人 |
| 成川の「なぜ」がわかる英文法の授業 | 3 / 10 | 45〜60 | 256頁 | 30〜40h | 暗記でなく理解で文法を積みたい人 |
| 総合英語Evergreen | 3 / 10 | 45〜65(全レベル) | 網羅型・解説動画付 | 辞書的に通年使用 | 手元に文法辞書を1冊置きたい全受験生 |
大岩のいちばんはじめの英文法と肘井学のゼロから英文法は、中学英語に不安がある段階から読める導入書です。薄く、短期間で通せます。
総合英語Evergreenは性格が違います。全レベルを網羅した辞書型で、通読する本ではありません。演習中に分からない項目が出たときに引く本として、手元に置いておく使い方が想定されています。学校で配られる総合英語(Vision Quest や Forest 系)があれば、それで代用できます。
つまり、導入書 1 冊 + 辞書として総合英語 1 冊、というのが理解型の標準構成です。導入書は読み切り、総合英語は最後まで手放しません。
演習型:Next Stage・Vintage・スクランブル・UPGRADE の違い
結論から言うと、この 4 冊に大きな差はありません。
| 参考書 | 難易度 | 到達目安 | 問題数 | 想定時間 | 向いている人 |
|---|---|---|---|---|---|
| Next Stage 英文法・語法問題 | 5 / 10 | 50〜62 | 頻出ポイント218・512頁 | 60〜80h | 網羅系1冊を軸に文法を固めたい人 |
| Vintage 英文法・語法 | 5 / 10 | 50〜63 | 608頁 | 60〜80h | 解説重視で網羅系を選びたい人 |
| スクランブル英文法・語法 | 5 / 10 | 50〜63 | 504頁 | 60〜80h | 私大上位まで見据えて網羅したい人 |
| UPGRADE英文法・語法問題 | 5 / 10 | 50〜63 | 472頁+QRドリル1289問 | 60〜80h | データ重視で効率よく網羅したい人 |
| Power Stage 英文法・語法問題 | 4 / 10 | 48〜60 | 656頁 | 50〜70h | 共テ・中堅私大中心で網羅したい人 |
難易度も到達目安もほぼ同じです。いずれも文法・語法・イディオム・会話表現を網羅した 4 択中心の問題集で、収録範囲も似ています。出版社と紙面の作り、解説の細かさが違うだけです。
したがって選び方は次のようになります。
- 学校で配られているものがあるなら、それを使う。 4 冊のうちどれかは配られていることが多く、乗り換える理由がありません。
- 自分で選ぶなら、書店で解説ページを見比べて決める。 同じ設問に対する解説の分量と説明の仕方が本によって違います。読みやすいと感じたほうが続きます。
- 複数を買わない。 内容が重複しているので、2 冊目をやる時間があるなら 1 冊目を 3 周するほうが得です。
ポラリスはどう違うか
英文法ポラリスはレベル別に分かれたシリーズで、上の 4 冊とは設計思想が違います。網羅型の 1 冊で全部を扱うのではなく、自分のレベルに合った巻だけを解く構成です。
ポラリス文法の超基礎編。大岩・ゼロから系の講義の直後に置ける易しさで、講義→演習の最初の橋渡しを担う。関の「核心」解説付きで基礎でも理屈が…
入試過去問を厳選し、全問に関正生の「核心を突く」解説を付けた文法問題集の新定番。網羅系4択より問題数を絞り、理解しながら短期間で入試標準の…
GMARCH・関関同立・地方国公立レベルの文法問題を精選した応用編。1で作った土台に、差がつく頻出テーマを上乗せする。
早慶上智レベルの難問文法を体系的に扱う発展編。重箱の隅ではなく「難関大が本当に問う」ポイントに絞った選題で、文法で差をつけたい最上位私大志…
「分厚い網羅型は続かない」「今のレベルに合った問題だけ解きたい」という場合は、ポラリスのようなレベル別シリーズのほうが向きます。
文法問題集はどこまでやるべきか
志望校によって、必要な深さが変わります。
- 共通テストのみ:共通テストに独立した文法問題は出ません。ただし読解の土台として文法は必要なので、理解型 1 冊+演習型の基本レベルまでで十分です。網羅型を隅々までやる必要はありません。
- 私大(MARCH・関関同立以上):文法・語法問題が独立して出題されます。演習型を 1 冊、確実に仕上げる必要があります。
- 難関私大(早慶など):さらに上の頻出英文法・語法問題1000や竹岡の英文法・語法ULTIMATEまで踏み込む価値があります。
- 国公立二次(記述中心):文法問題そのものは出ないことが多いものの、英作文で文法の運用力が問われます。4 択の暗記より、英作文の教材と合わせて使うほうが効果的です。
文法の次にやること
文法問題集を完璧にしても長文が読めるようにはなりません。文法は「1 文を正確に読むための材料」であって、材料を組み立てて文の構造を取る訓練は英文解釈の役割です。文法問題集が仕上がったら、次は解釈に進んでください。